父の影と未知の力

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男の姿が見えなくなってしまってから数秒後、後ろで何かの動作音が聞こえて何事かと思って見てみると、 光葉たちを囲んでいたコの字型のガラスが天井へと上がって行き、彼女らが自由の身となっていた。 「大輝!」 3人はガラスの方を見ていたが、光葉はすぐに俺の元へと駆け寄ってきた。 俺もすぐ光葉の元へ歩いていく。 「光葉! みんなも無事だったか」 「ええ、アタシたちは何ともないわ。大輝こそ、平気?」 向かい立って互いの無事を確認する。 どうやら結果的に誰も被害を喰らってはいないようだ。 「なあ大輝、疑問はいっぱいあるけどよ、一先ずここを離れようぜ」 「私も賛成。その壁とか、さっきのガラスとか……色々怖いよ、この建物」 夏騎たちもこっちに来ながら、退散を提案してきた。 確かにそうだ。あのフードを被った男を追えない以上、ここに長居したくない。 「そうね、早く出ましょ」 「とりあえず、12区域に戻ろー!」 光葉も同意見を示し、全会一致で俺たちはそそくさを旧決闘アリーナから離れた。 誰かの使いだと語った謎の男、 決闘空間で行われる『真の決闘』という特殊な決闘、 新種族「ドラグナー」と俺たちの知らない超次元カード「ドラグハート」 そして親父の安否を知っていそうな口ぶり、 この旧決闘アリーナでの出来事は、むしろ謎を増やし深めただけで終わってしまった……。
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