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「え? でもそれならどうして海堂は決闘都市に来ようって思えたの?」
今度は小鶴が質問をしてくる。
ま、そこは不思議に思っちゃうよな。
俺はちょっとだけ口角を上げてから説明を始めた。
「光葉が聖ルチークへ進学したんだ。いつか俺がデュエマを再開できるようになった時に備えて腕を磨く為にって。当時の俺はそんなことには知らずに、いつの間にか光葉が家から消えているのに気付いた俺は、両親のことを想像して家の中を必死に探し回ったんだ」
当時のことを思い浮かべる。
泣きべそをかきながら、あの広い菜季家の豪邸を探し回ったもんだ。
ほとんど林みたいな庭まで駆けずり回って泥だらけになってたしな。
当然、見つからなかったけど。
「そんな時だ。ヘトヘトになってた俺が最後に入った離れの倉庫みたいなところで、
──《クリスタル・アックス》と出会ったんだ」
「あー、そこで《アックス》と会ったんだぁ」
怜衣乃が納得したように握った右手を広げた左手に載せる仕草をする。
「ああ。精霊の声が聞こえてたのはもう少し前からなんだけど、姿をハッキリと視認できたのはそこが始めてだ。そん時は転げまわる程驚いたさ」
『ククッ、懐かしいな。面白かったぜ』
俺がそこまで言い終えた段階でアックスが呟いて小さく笑った。
うるさい、昔の話だ。
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