語られる過去の棘

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── ─── ──── 菜季家の離れにある倉庫みたいな建物。 いつもは施錠されてるんだけど、今日は何故か鍵がかかっていなかった。 そして俺はそこで、カードイラストとして見たことのある水晶体のケンタウロスのような半馬半人の斧使いのクリーチャーが、半透明の姿で目の前に居る場面に遭遇した。 「クッ、《クリスタル・アックス》!?」 『おう、こうやって話すのは初めてだな。っても俺は昔からお前のことを知ってるんだがな』 驚いて尻餅をつく俺に対し、アックスは長年付き合った友人に対するかのような態度で話しかけてきた。 確かに俺はデュエル・マスターズの精霊と話せる不思議な体質だけれど、目の前のこいつとは初対面のハズだ。 俺が必死に頭を回転させて考えていると、それを察したアックスが説明してくれた。 『実はな、俺は氷薙がチャンピオンになる前のデッキで使われてた元相棒なのさ。その後も氷薙は俺を所持してくれる機会が多かった。だからお前と光葉のことはそれなりに知ってるってわけだ』 「親父の……元相棒、だって?」 親父が使っていたカード。 俺はその部分が気になった。 「親父が使ってたカードっていうなら、何でこんなところにいるんだ?」 そして即座にその疑問に辿り着いた。 だってここは菜季の家の倉庫。親父の所有物があるのはおかしい。 俺の質問に、アックスは少し困った表情をした……ように見えた。
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