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朝食を手短に済ませて、制服に着替えた俺は、軽いスクールバッグを片方の肩に掛けて、玄関に向かった。
向かった、と言っても学校寮の1人用部屋だ。対した距離じゃない所から数秒もかからない。
「うし、行ってきまー!」
あっという間に靴を履き終えた俺は、金属製のドアを開けて、外の寮の廊下へと足を踏み出し───
『大輝、何か落ちてるぞ』
かけた所で、アックスにそんな事を言われて足が止まった。
下を見てみると、確かに俺の足元には裏側のカードが落ちていた。
「? 誰のカードだ……?」
疑問に思いながら、そのカードに手を伸ばしてそれを拾った。
そして表面を見ようとしたその時───
「ぐっ!!?」
突然の激しい頭痛に、思わず目を閉じて顔をしかめる。
『お、おぃ、大丈夫か大輝!』
隣からアックスの声が聞こえてはくるが、言ってる言葉が上手く頭に入らない。
痛みで思考が寸断されている……ようだ。
俺が頭痛に堪えながら、うずくまっていると、
突然、光が俺とアックスを覆った。
それのせいで、何も見えなくなってしまったが、自然と頭痛が治まっていき、光が止んで、元の寮の廊下が見えるようになっていた頃には、
痛みも、
手に持っていたハズのカードも、
─────消えていた。
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