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「……」
「……」
昼矢との決闘が終了直後、
決闘場は静寂に包まれていた。
決闘が終わった───という事実を受け入れるには、少し時間がかかったみたいだ。
だが数秒経つと……
「1年生のヤツが勝ったのか!? あの第4には敵なしと言われてた、あの昼矢に……」
「スゴいぞ海堂~っ!!」
「「「海堂! 海堂! 海堂!」」」
観客である全校生徒が、俺に賞賛の声を上げ始めた。
ハハッ、何だか恥ずかしいな。
少し照れてしまった俺は、思わず苦笑いで頬を人差し指で掻いた。
「……良かったじゃねぇか」
そんな時、さっきまで俯いていた昼矢が俺を睨み付けるように見ながら言ってきた。
「オレを嘲笑うか? でけぇ口叩いたクセに負けちまったオレを蔑むか? ……そうしたいなら好きにしやがれ」
息継ぎなしでそう喋った昼矢は、何だか自暴自棄になっている気がした。
そんな昼矢に、俺は歩み寄った。
すぐ近くまで行くと、俺は座り込んでいた昼矢に向けて、手を差し伸べた。
「誰も、お前を蔑んだりはしないって。お前の強さは、この決闘を見た人ならスゴいんだって皆分かってる。……俺が勝てたのだって、たまたま、だろうしな」
その言葉は、俺の本心。
嘘偽りなんかは、一切含めていない。
その言葉を引いた昼矢は……
「……チッ」
舌打ちをしてきた。
そして俺の手は完全無視して、自力で立ち上がると、
「やっぱりテメーは、他の奴等とは違ェな。胸くそ悪ィ……
次は絶対、オレが勝ってやるから覚悟しとけ!」
不敵な笑みを浮かべて、そんな挑発の台詞を口にしてきた。
口は悪くても、そこに悪気がないのは俺でも分かった。
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