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都市長の言葉を聞いた瞬間、俺は震えが止まらなくなってしまった。
一言を言うのが、精一杯だった。
「……あの人の話は……しないで下さい」
「まだ、引き摺っていたのですね。申し訳ありません」
都市長はたった一言で全てを把握してくれた。
正直、俺自身も克服していたと思ったのに……
たった一言で、俺の精神はズタボロにされてしまっていた。
そう思っている内に、都市長は元の話を始めていた。
「決闘騎士団の件は、まだ結論は出さなくて結構です。あまり長くは待てませんが……近い内にこちらに連絡を下されば、すぐに私の所へ繋げるように手配しておきます」
都市長はそう言って、自分のバッグから取り出したメモ用紙に、どこかの電話番号を書いて俺に渡してきた。
「もうすぐ、元の貴方の寮です」
いつの間に戻ってきていたのか、外を見れば確かに、もう寮の近くだった。
………………。
寮から少しだけ離れた位置でベンツが止まり、自動的にドアが開いた。
俺はそこから出ようと体を動かそうとした時、
「あ、そうですね。最後に1つだけ」
後ろから、都市長が俺を引き留めた。
何だと思って首だけ動かすと、都市長は、
1枚のカードを差し出していた。
「元々、貴方には渡すつもりだったものです。使う使わないは貴方の自由です」
そう言って、都市長が手に持っていたカードは───
稲妻が周りに描かれていた。
それだけで分かる。
これは……決闘都市の生徒の内、特に優秀な生徒しか手に出来ないはずの、サイキック・クリーチャーだ。
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