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「……え? 光葉……お前」
光葉の視線は、明らかに……相棒のアックスに向けられていた。
見えているんだ。───精霊が。
今朝出会った金髪の女の子だけじゃない。
精霊を視認できる人は存在した。
しかも、こんな身近に。
俺ははやる気持ちを抑えて、光葉に最後の確認をした。
「《クリスタル・アックス》が見えるんだよな、光葉っ!?」
「そ、そうよ……? ちっ、近いわよ大輝!!」
ついつい嬉しさと興奮に、光葉にズズイと寄せてしまっていたのを指摘されてやっと認識した。
慌てて顔を離しつつ「ご、ごめん」と謝ったが、光葉は何も返さずに自分の人差し指同士をくっつけている。何故か顔も真っ赤だ。
だが、自分と同じ「性質」を持っている人を見つけて高陽としてしまっている俺は、そんなことは全く気にしなかった。
『菜季光葉。お前にはいくつか聞きたい事があるが、外で立ち話もなんだ。大輝の部屋に上がらないか?』
そんな中、唯一冷静さを保っていたアックスが光葉にそんな提案をした。
光葉はまず、クリーチャーが喋ったことに驚いていたが、
俺がその事も含めて説明する、と言ったら一先ず納得して、寮の俺の部屋に上がることを了承してくれた。
そういえば……光葉とは物心ついた時から一緒だけど、自分の部屋に上げたことなんて、今までなかったな。
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