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とりあえず、光葉が精霊を見え始めるようになったのは今日からだという。
どうやら今朝から兆候はあったらしい。
俺には心当たりはないけど。
「で、アンタは何なの? 立体映像じゃないみたいだし」
『……半透明で一見すると稀薄な存在のように見えるから映像だと思っても不思議じゃないか』
今度は光葉がアックスに質問してきて、アックスはそれに対して独りでに呟いて溜め息を吐いた。
以前聞いた話だと、アックスが半透明なのはカードから離れれば離れる程、その力が無くなってしまうかららしい。
実際、アックスはカードから10m程度離れると見えなくなってしまう。
まぁとにかく……精霊にとってはカードの外での実体化は不可能らしい。
『精霊、としか説明できないが実証はできない。何しろ実体化は不可能だからな。この声だって、一種のテレパシーに近い』
それは初めて聞いたが、納得できた。
そいやアックスの声って、喧騒の中でも聞き取りやすいからなぁ。
『そんなわけで、俺が精霊であるということは信じてもらうしかないな』
「疑うつもりなんてないわよ。大輝だってそう言ってるんだし」
アックスの言葉にそう返した光葉は、何故か横目で俺を見てきた。
頬を赤くしているのが見えた。
そんな光葉を見て、俺はついクスリ笑った。
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