Duel Knights─決闘騎士団─

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(第三者視点) 決闘都市の中心部に建っている、他のどんな建物よりも高いビル。 都市庁、つまりは決闘都市の心臓部の場所である。 そこの最上階にある設備の整った部屋。 『都市長室』と言われている部屋に、富片粧菜はいた。 「……無理に加入させなくて良かったのですか?」 都市長室には、富片の他にもう1人の女性がいた。 フレームのない眼鏡をかけて、紺色の女性用スーツを着たスレンダーな人だ。 年齢は恐らく三十過ぎといった所だろう。 彼女は、富片の秘書として仕えていた。 「こういうものは、自らの意思で入らせる事が肝心なんです」 秘書の質問に、富片は背中を向けたまま答えた。 手にはマグカップ。中には香り良いコーヒーが注がれている。 「ですが、それでは海堂大輝は決闘騎士団に加入しない恐れも───」 「大丈夫ですよ」 富片は秘書の反論を遮った。 富片は敢えて一度、一呼吸ついた後に説明した。 「人は1人では生きられません、「支える人」「支えられる人」が必要不可欠なんですよ。ですから私は敢えて、 彼の『過去』に直接関与していた、菜季光葉が決闘騎士団のメンバーであった事を教えなかったのですから」 富片はそこまで言い終えると、手に持っていたマグカップを口元へと持っていった。 コーヒーを一口啜ると、顔をしかめて、 マグカップを机に置いてから、独りでに呟いた。 「……苦いですね」
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