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次の日、俺は寝坊した。
致命的な遅れを取る程ではないが……
「やっぱり、もういないよな」
登校時、いつも光葉と出会う十字路には、誰もいなかった。
まぁ、仕方ないよな。
こんな時間まで待ってくれてる方が、悪いし。
俺はそう考え、自分の心の中にある「残念だ」と思う気持ちを押し込んだ。
『早く行かないと遅刻するぞ』
「……ああ」
アックスの言葉を聞いて、俺は駆け足を再開した。
────
───
──
教室に辿り着くと、始業1分前だと知ることが出来た。
「遅いぞ、海堂。早く座りなさい」
「す、すみませーん」
担任の朱雀先生に叱られつつ、俺は席に着いた。
クスクスと笑い声が聞こえてきて、少し恥ずかしくなってしまった。
俺が席に座ったの確認した朱雀先生は、「んー」と指を顎に乗せつつ喋り始めた。
「おかしいねー。今日、天佳来るって言ってたのに」
その苗字を聞いて、俺は教室の端っこにある空白の机の事を思い出した。
天佳怜衣乃。
初日から、クラス名簿に名前はあるんだけど、家の都合でまだ決闘都市に来れなかったらしくて登校してこなかった生徒だ。
勿論、クラスの誰も顔とか全然知らない。
そんな時───
教室の扉が勢いよく開いた。
「ハァ……ハァ……」
そして、そこにいたのは、
荒くなった呼吸を必死に整えている、ブロンドヘアーが綺麗に靡く女子生徒だった。![image=492703358.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/492703358.jpg?width=800&format=jpg)
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