青い瞳の決闘者

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決闘場への移動途中、俺は天佳さんに話しかけてみた。 「あの、天佳さん」 「怜衣乃」 すると天佳さんは振り向かないまま、そう言ってきた。 「さっきは言えなかったけど、「怜衣乃」って呼んで?」 女子(しかも美人!)をいきなり下の名前で呼ぶのは、さすがに躊躇いがあったけど、何とか口に出してみる事が出来た。 「えっと……じゃ、じゃあ、怜衣乃」 「おっけー! 大輝っちー♪」 すると怜衣乃は快活な笑みを浮かべつつ、即興のあだ名で返事をしてきた。 恥ずかしさから、少し固まった後に俺はようやく質問をした。 「あのさ……俺と、昨日会った……よな」 昨日との、雰囲気の違いのせいもあり少し不安に思い、たどたどしい質問になってしまった。 「おいおいヒーロー君、それは新手のナンパ文句かい? ───残念だけど、あたしは昨日は手続き含めて寮に籠りっきりだったよ」 その言葉に、驚いてしまった。 ……あれは怜衣乃じゃないって事か? となると、 「……えっと……じゃあ双子とか姉妹とかは?」 あのブロンドヘアーでワンピース姿の女性は、怜衣乃の姉か妹なのではないかと疑った。 だがしかし、 「いやいや、あたしは一人っ子だよ。いたとしたら、この学校に来てるっしょ」 怜衣乃はサラッとそう回答した。 それで、俺はこんがらがってしまった。 じゃあ、あの子は一体誰だったんだ……? 結局、俺は考えを迷走しながら決闘場へと歩いていく事となった。
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