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「……はぁ、今日は不思議な出来事だらけだな」
『そうだな』
元の道に戻った俺は、アックスと一緒に歩いていた。
寮を出る前の、高揚していた気分は既に消えていた。
けどそんな時、俺は前方に見慣れた人物を発見した。
肩より少し長い髪を2つに結わえた、いわゆるツインテールヘアーの黒髪の女の子。
俺はその子に追い付くために足を早めた。
「おはよ、光葉っ!」
ある程度距離が詰まった所で、その子の名前を呼ぶと、黒髪の女の子は俺の方に振り向いてくれた。
「あっ、大輝…………!」
ベージュを基調とし、オレンジのラインが所々に入った柄のセーラー服を着た、可愛い顔立ちの女の子。
この子の名前は、菜季光葉。
俺の幼馴染みだが、年は1つ下で中等部3年生だ。
光葉は俺の顔を見ると、頬を綻ばせたが、それに気付いたからかすぐに首を振って目をキツくした。
ハハッ、相変わらず素直じゃないな。
そんな見慣れた光葉の反応に、俺は思わず笑みを浮かべた。
『幼馴染みパワーか。もうすっかり戻ってるじゃねぇか』
俺を見て言ったアックスの呟きは、声量が小さかった為、誰の耳にも届かなかった。
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