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『そうか。元々俺は反対なんかしないぞ。大輝がそうしたいなら、そうすれば良い』
念押しくらいはされると思っていたんだけど、アックスは案外何も言わなかった。
『分かってるからな。お前が光葉の為にしてやりたいってのがな』
「うっ……」
それを言われるとさすがに恥ずかしい。
けれど図星だから、否定をすることは出来なかった。
『今すぐ連絡するつもりなんだろ? 早くしないと昼休み中に終わらんかもしれないぞ』
「あ、あぁ……そうだな」
俺は逆にアックスに急かされて、携帯電話と都市長の富片さんから貰ったメモを取り出した。
メモに書かれた番号を入力し、コールボタンを押した。
数回のコールの後、他の人を通す事なく繋がった。
『海堂さん、案外早かったですね。もう決心がつかれたのでしょうか?』
昨日聞いた若い女性の声、紛れもなく富片さんだ。
俺は少し緊張した声で、富片さんの言葉に頷いた。
「はい、決まりました。───決闘騎士団に入ろうと思います」
俺の結論を黙って聞いた富片さんは、喋り終えると同時に嬉しそうな声を上げた。
『そうですか! ありがとうございます。菜季さんも喜んでくれると思いますよ』
「……」
光葉の名前を聞いた瞬間、俺はふと疑問が浮かんだ。
だから、スグさまそれを富片さんにぶつけた。
「富片さん。……どうして光葉が決闘騎士団の一員だという事を、教えてくれなかったんですか?」
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