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少しの間の沈黙の後、富片さんは答えた。
『教えなかった事に付きましては謝罪します。ですが、あの時にその事を告げてしまうと、人質を取っている様に捉えられかねないと思ったからです』
「……」
果たしてそれは本心なのか。
俺には分かりかねた。
だから、やはり光葉は俺が守ってやらないと、という気持ちが強まった。
「……他の団員との顔合わせは、ありますか?」
『ええ。早ければ明日にでも致しましょうか』
明日か……。
若干迷ったけど、その組織の中身は早い内に知っておきたかったから、俺はそれを承諾した。
そして最後に、明日の放課後に第4に迎えを寄越してくれる旨を聞いてから、通話を切った。
「ふぅ……」
携帯をポケットに戻して、一先ずの息を吐いた。
『光葉には伝えなくて良いのか?』
通話中はずっと黙っていたアックスが聞いてきた。
「ん~……まぁ、明日には会う訳だし、それで良いだろ」
俺はアックスにそう答えて、ようやく持ってきていた弁当を自分の前に広げた。
『……決闘騎士団、か』
食べている途中、隣にいたアックスがふと呟いていたのが聞こえてたが、気にしない事にした。
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