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「おーい、ヒロっち~!」
そんな時、後ろの方から俺に付けられた渾名を呼ぶ声が微かに聞こえてきた。
この呼び方をする人は1人しかいない。
「あ、あー丁度良いタイミングだ! ホラ、光葉、あれがさっき話してた転校生」
俺が怜衣乃に手を振り返しながらそう言うと、光葉はアックスの方に小声で囁いた。
「……ホントに大丈夫なんでしょうね」
『ククク、やっぱり気になってるんだな』
「きっ、気にしてなんかないわよ!!」
会話は全て聞こえたが、意味は理解できなかった。
その間に、遠くにいた怜衣乃が近くまで来ていた。
「何、この子? 可っ愛い~~っ!!」
「え……ひゃあ!!?」
そしてその勢いのまま、光葉に突進するかのように抱き着いた。
光葉は耐えきれず押し倒されそうになってしまったので、俺が慌てて反対側から押さえた。
「おっと。……れ、怜衣乃気を付けてくれよ」
「無理無理っ♪ こ~んな可愛い子見つけちゃったんだもんっ!」
俺が怜衣乃にそう言うと、
光葉に抱き着いたまま怜衣乃は首をブンブン振って拒否をした。
「うぅ……苦しいぃ……」
抱き締める力が強すぎるからか、光葉が小さな悲鳴を上げた。
俺は慌てて怜衣乃の腕を掴んだ。
「怜衣乃! 光葉死んじゃうって!」
そう言うと、さすがに怜衣乃は光葉から離れてくれた。
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