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紫「やがて全ての妖怪を倒すと彼はゆっくりと倒れていった。これは後から聞いた話だけど、私から受けた傷とそのときの戦闘の傷でいつ死んでもおかしくない状況だったらしいわ」
橙の息を飲む音が聞こえる。
それほどまでにこの話しに集中しているんでしょうね。
橙「なぜ雷牙さんは敵である紫様を助けるようなことをしたんでしょうか?」
紫「そう私もそう思って数日たってから寝ていた彼に理由を聞いたわ。なぜあの時私を助けたのかって。そうしたら彼なんて言ったと思う?
『お前があそこで死んだら喧嘩の決着がつかねぇじゃねぇか』って笑っていったのよ。それを聞いた時私は腹を抱えて笑ったわ」
橙「…………」
紫「それから私はむやみに妖怪に戦いを挑むのを止めた」
橙「なぜですか?」
紫「とたんにバカらしくなったのよ、力任せに暴れまわっている自分がね。まぁそんなわけで彼は腕っぷしの強さもさることながら器も大きい者だと思ったのよ」
橙「凄い方なんですね、雷牙さんって」
紫「多分本人はそんな気なんてさらさらなかったでしょうけどね。でもあの出来事が無かったら私は多分破滅の道を歩んでいたでしょう」
橙「今の紫様が居るのは雷牙さんのおかげなんですね」
紫「えぇ、そうね」
雷牙「今戻ったぜって何話してたんだ?」
紫「取るに足らない昔話よ。ね~橙」
橙「えぇ、そうですよ」
口に出しては恥ずかしくて言えないけど心の中ならいくらでも言えるわよね?
ありがとう私の親友にして大切な人。
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