一章

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櫂翔side ちょうど入学式が終わった頃、学校に着いた。 屋上に行く前に飲み物を買おうと自販機の前に行くと、女が絡まれていた。 …面倒くせぇ… そう思いながら、近づき女を見ると、一瞬時が止まった。 綺麗と可愛いが混ざった感じの今までにいなかった様な奴だった。 いつもは無視するが、無意識に止めに入っていた。 「お前ら…何してる?」 そう言いながら男を見ると、黄竜の奴らだった。 言い訳を始めた男達に呆れていると、男達は女に同意を求めていた。 それに対して女は凛とした声で応え、その声に柄にもなくドキッとした。 どう見ても、男達が絡んでたのは解ってたが、女の話を聞き、低めの声で呟くと男達は慌てて走り去った。 このまま、この女を放置出来ず、教室まで送ると言い、クラスを聞き出すと、葵と同じAだった。 女の手を引きながら、名前を聞くと李遠と名乗った。 李遠は俺の事もblue moonの事も知らないみたいで、何なのか聞いてきた。 やはり李遠は今までの女達とは違った。 俺は…初めて本気でこいつが欲しいと思った。 とりあえず、溜まり場に連れて行こうと考え、行くか?と聞くと、寂しそうに夕方からは家から出れない…と答えた。 いつでも連絡が取れる様に携帯を教え、話しながら歩いていると、教室が見えてきた。 教室が見える位置までくると李遠は遠慮してるのか、ここでいいと言った。 足を止めて、李遠を見ながら、敬語を止めて、さん付けしない様に言うと、遠慮してるのか、でも… と言い出したが渋々ながら頷いてくれた。 李遠にいつでも連絡して言いと言い残し、俺は来た道を戻った。
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