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櫂翔に寄り掛かりウトウトしていると、電話が終わった熾遠が抱きついてきた。
「李遠ありがとな!銘愛が弁当作ってくれるって!!」
「…良かったね熾遠。」
「…熾遠…李遠を離せ。」
熾遠に返事をすると、櫂翔が不機嫌そうに言った。
「いいじゃねぇか。可愛い妹に抱きついたって。」
「李遠は俺のだ。」
櫂翔と熾遠が言い争いを言い始めたから、私は熾遠の腕から抜け出した。
私が抜け出すと、すかさず櫂翔に抱き寄せられた。
いつの間にか眠気も飛び、皆で話をしていると、チャイムがなり葵と教室に帰った。
櫂翔達は授業を受ける気がないのか、そのまま屋上に残った。
葵はまた寝始めたから、ボ~と授業を受けていると5限終了の鐘がなった。
トイレに行きたくなった私は、寝ている葵に何も言わずに教室を出て、トイレに向かった。
トイレにはギャル達がいたが、気にせず用を済ませ、手を洗っていると声をかけられた。
「結城さん?話があるんだけど。」
後々来られても面倒くさいから振り返り返事をした。
「何?」
ギャル達は口々に言いたい事を言い出した。
「今日、屋上に行ったそうね。あそこはblue moon幹部だけが行ける所なのよ。」
「図々しいにも程があるわ。」
そう言う彼女達に解らないように溜め息をついた。
「…言いたい事はそれだけ?私は櫂翔に誘われたから行ったのよ。文句があるなら櫂翔に言って。」
そう言って教室に戻ろうと、トイレのドアに手をかけた時、ギャルの一人が喋った。
「あなた…従兄弟に抱かれてたんでしょ?」
その言葉にドキッとして振りかえる。
「クスクス。良くそんな穢れた身体で、櫂翔さん達といられるわね?櫂翔さん達とも交代で寝てるの?彼ら上手いものね。」
…何で…知ってるの…。
そう思いながら睨み付けた。
「…貴女には関係ない。」
そう呟きトイレから飛び出して、教室に戻った。
バクバクとなる心臓を静めながら、席につき机に顔を埋めた。
…早く櫂翔に会いたい…。
ギャルに言われた言葉が頭から離れず涙が出そうになるのを必死に耐えながら、櫂翔が迎えに来てくれるのを待った。
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