五章

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葵に話しかけられても上の空で、帰りのHRが終わるまで、私は机から顔を上げる事が出来なかった。 考えるのはさっき言われた事…。 …なんで彼女が知ってるの? …やっぱり…私は… そう考えていると櫂翔の声がした。 「李遠、帰るぞ?」 バッと顔を上げると、櫂翔と葵が机の前にいた。 櫂翔に抱いても、頭の中のギャル達の声は響き続けていた。 「どうした?」 櫂翔に聞かれても答える事が出来ずに、かわりにギュッと抱きついた。 そんな私を櫂翔は抱き上げ、葵と教室を出ていた。 櫂翔も葵も何も言わずに下駄箱まで来ていた。 「李遠?とりあえず、靴履き替えろ。」 そう言われ下ろされたが、櫂翔が離れて行かないように、服の裾を掴みながら履き替えた。 そのあと、櫂翔が靴を履き替え校門まで、手を繋いで歩いた。 「葵、俺達はこのまま帰る。何かあれば連絡してこい。」 「はい。」 葵の返事を聞くと、櫂翔は私を連れて迎えの車に乗り込み、運転手さんにマンションと呟いた。 私は下を向き、これからどうしようか考えていた。 マンションに着いても車から降りない私を、櫂翔は抱き上げ部屋に向かった。 部屋に入りソファーに優しく下ろされると、櫂翔が私から離れていくのを見て、慌てて櫂翔を呼ぶ。 「櫂翔!?どこに…行くの?」 「飲み物取りに行くだけだ。すぐ戻る。」 おでこにキスを落とし、櫂翔はキッチンに向かった。 戻ってきた櫂翔はジュースをテーブルに置き、ソファーに座った。 座った櫂翔にすかさず抱き着くと、櫂翔は私を抱きしめながら聞いてきた。
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