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葵に話しかけられても上の空で、帰りのHRが終わるまで、私は机から顔を上げる事が出来なかった。
考えるのはさっき言われた事…。
…なんで彼女が知ってるの?
…やっぱり…私は…
そう考えていると櫂翔の声がした。
「李遠、帰るぞ?」
バッと顔を上げると、櫂翔と葵が机の前にいた。
櫂翔に抱いても、頭の中のギャル達の声は響き続けていた。
「どうした?」
櫂翔に聞かれても答える事が出来ずに、かわりにギュッと抱きついた。
そんな私を櫂翔は抱き上げ、葵と教室を出ていた。
櫂翔も葵も何も言わずに下駄箱まで来ていた。
「李遠?とりあえず、靴履き替えろ。」
そう言われ下ろされたが、櫂翔が離れて行かないように、服の裾を掴みながら履き替えた。
そのあと、櫂翔が靴を履き替え校門まで、手を繋いで歩いた。
「葵、俺達はこのまま帰る。何かあれば連絡してこい。」
「はい。」
葵の返事を聞くと、櫂翔は私を連れて迎えの車に乗り込み、運転手さんにマンションと呟いた。
私は下を向き、これからどうしようか考えていた。
マンションに着いても車から降りない私を、櫂翔は抱き上げ部屋に向かった。
部屋に入りソファーに優しく下ろされると、櫂翔が私から離れていくのを見て、慌てて櫂翔を呼ぶ。
「櫂翔!?どこに…行くの?」
「飲み物取りに行くだけだ。すぐ戻る。」
おでこにキスを落とし、櫂翔はキッチンに向かった。
戻ってきた櫂翔はジュースをテーブルに置き、ソファーに座った。
座った櫂翔にすかさず抱き着くと、櫂翔は私を抱きしめながら聞いてきた。
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