五章

8/57

1836人が本棚に入れています
本棚に追加
/592ページ
「どうした?何かされたのか?」 そう聞く櫂翔にフルフルと首を振る。 「何があった。言ってみろ。」 そう言われても、口に出したくなくて、ギュッと抱き着く。 私の行動に櫂翔が少し身体を離し、私の顎を持ち目を合わせさせられた。 「李遠?この前言っただろ。見逃すのは一度っきりだ。何があったか言うんだ。」 そう言われ、また目に涙が溜まってきた。 「李遠、言え。何をされた?何があっても、お前は俺が護ってやる。」 櫂翔の力強い言葉に、ポツポツと話始めた。 「…従兄弟に…抱かれてたんでしょ…って…。穢れた身体で…櫂翔達と…よく一緒に…いれるなって…。櫂翔達と…交代で…皆と…寝てるんでしょ…って…。」 そう言うと櫂翔は無言になった。 話ながら涙が止まらなくなり泣きながら櫂翔に話した。 「誰が言った?」 「…知ら…ない…。…わ…私が…汚いから…櫂翔…と…いちゃ…ダメなの…?…私が…あいつに…抱かれてたから…」 そこで言うと、櫂翔はギュッと抱きしめてくれた。 「落ち着け…李遠…。お前は汚れてなんかいない…。」 櫂翔の声が聞こえたが、私は悪い方にどんどん考えていた。 「…ただ…櫂翔の…側に…いたい…だけなのに…。…私は…あいつの…オモチャ…から…逃げれない…の…」 泣きながら呟いていると、段々息苦しくなってきた。 「李遠?」 私の異変に気づき櫂翔が私を呼んだ。 返事をしたくても、しっかり呼吸が出来なくて、櫂翔に助けを求めた。 「…か……い……と……。」 「李遠!」 苦しむ私に櫂翔はキスをしてきた。 …私は…そのまま…暗闇に…落ちていった…。
/592ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1836人が本棚に入れています
本棚に追加