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櫂翔side
6限の終わり頃、葵からメールが入った。
〔何か…い~ちゃんの様子がおかしいです。話し掛けても返事をしてくれません。〕
…何かあったか?
そう思いながら、メールを打つ。
〔何かあったか?〕
〔いえ。教室では何もありません。トイレには行ったみたいですが、戻ってきたら様子が変でした。〕
〔わかった。HR終わったら俺が行く。〕
葵にはそうメールを送り、熾遠にもメールを入れた。
〔李遠の迎えは俺が行く。〕
それだけ送り、屋上から教室に向かう。
HRが終わるとすぐに李遠の教室に向かった。
李遠達のHRが終わるのを待ち、終わった瞬間教室に入った。
入ってきた俺に、教室は騒がしくなったが、その中葵は俺に心配そうな視線を向けてきた。
李遠に近寄り声をかけると抱きついてきた。
何も言わない李遠を抱き上げ、教室を出ると当然葵も着いてきた。
靴を履き替える時も俺から離れない李遠を見ながら、葵に今日は溜まり場に行かない事を話し、車に乗り込み家に向かうように指示する。
マンションに着いても、考え込んでて降りようとしない李遠を抱き上げ部屋に入った。
落ち着かせるのに飲み物を取りに行こうとするだけで、不安そうな顔をする李遠。
やっぱり何かされたと思い、聞くが答えない。
見逃すのは一度っきりだと言うと、泣きながら話し出した。
…従兄弟に抱かれてた事…。
…穢れた身体と言われた事…。
…俺達と交代で寝てる…と言われたと…。
それを聞いて怒りが沸いてきた。
誰に言われたか聞いても知らないと言いながら、また自分が汚れてるから…と泣き出す李遠。
違うと言っても、うわ言の様に呟き、次第に呼吸がおかしくなっていった。
呼び掛けてもおかしくて、苦しみながら俺に助けを求める李遠が、過呼吸になってるのに気づきキスをした。
呼吸が落ち着いた頃、唇を離すと李遠はそのまま意識を失っていた。
意識を失った李遠をベッドに運び、涙を拭いてやる。
眠る李遠を寝室に残し、俺はリビングに戻り携帯を開き、熾遠に電話をした。
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