五章

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櫂翔side 6限の終わり頃、葵からメールが入った。 〔何か…い~ちゃんの様子がおかしいです。話し掛けても返事をしてくれません。〕 …何かあったか? そう思いながら、メールを打つ。 〔何かあったか?〕 〔いえ。教室では何もありません。トイレには行ったみたいですが、戻ってきたら様子が変でした。〕 〔わかった。HR終わったら俺が行く。〕 葵にはそうメールを送り、熾遠にもメールを入れた。 〔李遠の迎えは俺が行く。〕 それだけ送り、屋上から教室に向かう。 HRが終わるとすぐに李遠の教室に向かった。 李遠達のHRが終わるのを待ち、終わった瞬間教室に入った。 入ってきた俺に、教室は騒がしくなったが、その中葵は俺に心配そうな視線を向けてきた。 李遠に近寄り声をかけると抱きついてきた。 何も言わない李遠を抱き上げ、教室を出ると当然葵も着いてきた。 靴を履き替える時も俺から離れない李遠を見ながら、葵に今日は溜まり場に行かない事を話し、車に乗り込み家に向かうように指示する。 マンションに着いても、考え込んでて降りようとしない李遠を抱き上げ部屋に入った。 落ち着かせるのに飲み物を取りに行こうとするだけで、不安そうな顔をする李遠。 やっぱり何かされたと思い、聞くが答えない。 見逃すのは一度っきりだと言うと、泣きながら話し出した。 …従兄弟に抱かれてた事…。 …穢れた身体と言われた事…。 …俺達と交代で寝てる…と言われたと…。 それを聞いて怒りが沸いてきた。 誰に言われたか聞いても知らないと言いながら、また自分が汚れてるから…と泣き出す李遠。 違うと言っても、うわ言の様に呟き、次第に呼吸がおかしくなっていった。 呼び掛けてもおかしくて、苦しみながら俺に助けを求める李遠が、過呼吸になってるのに気づきキスをした。 呼吸が落ち着いた頃、唇を離すと李遠はそのまま意識を失っていた。 意識を失った李遠をベッドに運び、涙を拭いてやる。 眠る李遠を寝室に残し、俺はリビングに戻り携帯を開き、熾遠に電話をした。
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