五章

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目を開けるとベッドの上だった。 …櫂翔と話してたはずなのに…。 そう思いながらベッドから起き上がり座った。 周りを見渡しても櫂翔がいなく不安になった。 トイレで言われたギャルの声が頭の中でしていた。 …従兄弟に抱かれてたんでしょ? …穢れた身体でよく櫂翔さん達といられるわね。 …櫂翔さん達と交代で寝てるんでしょ。 無意識の内にポロポロと涙が流れてきた。 …どこからバレた? …何であの人は知ってるの? …櫂翔が…側に居ないのは、私が汚いから? そういう考えと同時に思った。 …私は…いつからこんなに弱くなったんだろう…。 中学の時に言われた事はあったけど、無視できてた。 あの頃は熾遠を探したくて、気を張ってたいたから平気だったのかな? 涙を流しながら、そう考えていると、寝室のドアが開いた。 ドアの方を見て見たいけど、櫂翔に冷たい目で見られたら、生きていけない…。 呆然としていると、ふわっと抱き締められた。 櫂翔の腕だとすぐわかり、さらに涙が溢れてきた。 「李遠…そんなに泣くな。」 櫂翔はそう囁くと、さらにギュッと抱き締めた。 「…櫂…翔…」 涙を流しながら言えば、優しく返事をしてくれた。 「…離れて…行かないで…。」 「李遠…何があっても離してやらねぇから安心しろ。お前は綺麗だ。」 そう言う櫂翔に首を振る。 「…わ…私は…汚れてる…。あいつに…されたから…。私に…触ってたら…櫂翔まで…穢れちゃう…。…あの人達が…言ったのは…本当の事…。」 「…李遠…」 「…でも…私は…櫂翔といたい…。ただ…側に…いたいだけ…なのに…。何で…皆…邪魔するの…。」 櫂翔に抱き締められながら、思っている事を口にした。 「李遠…お前は綺麗だ。汚れてなんかいない。俺が綺麗にしてやるって言っただろ?…もう考えるな。」 「…櫂翔…」 「ほら側に居てやるから寝ろ。」 そう言われベッドに入れられた。 「…やっ!…いやぁ…寝たら櫂翔が居なくなっちゃう!」 「大丈夫だ。俺はお前から離れないから…。」 櫂翔に何を言われても、置いて行かれそうな感覚に泣きじゃくっていると、櫂翔は優しくキスをしてくれた。
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