月が輝くとき。

五章

「李遠、落ち着け。何度も言うけど、お前は綺麗だ。
今すぐ抱いてもいいが、泣いてるお前を俺は抱きたくないんだよ。
ボロボロのお前を抱いてしまったら、李遠が壊れちまう。俺はそんな事を望んじゃいない。
なぁ李遠？本当に俺に抱いて欲しくなったら、また言え。その時は遠慮なくお前を抱く。今は抱き締めててやるから。」

櫂翔はそう言いながら、ギュッと抱き締めてくれた。

…確かに今、櫂翔に抱かれても虚しいだけかも知れない。
一時の安心感を求めるために、今まで手を出して来なかった櫂翔に悪い気はする。
櫂翔には私の考えなんて、読めてるのかも知れない。

それでも私は櫂翔の温もりが欲しかった。

櫂翔の優しさに涙が止まらないまま言う。

「…櫂翔…。…やっぱり…抱いて欲しい…。…私が…弱いから…言葉だけじゃ…安心出来ない…。…逃げてる…だけなのも…解ってる。…でも…櫂翔に抱かれたら…頑張れるから…。…ちゃんと…あの人達と…戦うから…おねがい…。」

そう言うと、櫂翔は激しいキスをしてきた。

「我慢してたのに…どうなっても知らねぇからな。李遠…覚悟しろよ…。」

そう言いながら、私の上に股がり、キスを繰り返した。

櫂翔は優しく…壊れ物を触るように私を抱いてくれて、私はずっと櫂翔を呼び続けていた。

「…はぁ…ﾝ…か……と……」

「李遠…愛してる…。」

「あっ…っ…ﾝ…」

櫂翔は優しく私の中に入ってきた。

櫂翔の愛してるに、嬉し涙が流れてきた。

「…櫂…翔…。…ぁ……ﾝ…愛し…てる…」

そう言うと、櫂翔は一瞬苦しそうな顔をして言った。

「っ！…俺も…愛してるよ…。」

そう言いながらも、最後まで優しく抱いてくれた。