一章

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教室に戻ると、葵に叫ばれた。 「あ!い~ちゃん。どこ行ってたの?」 とりあえず、席に座わりさっきの事を話す。 「ジュース買いに行ったら絡まれてた。」 「えっ!?大丈夫だった?」 心配してくれる葵に笑いながら答えた。 「先輩が助けてくれたから。」 「なら良かった。い~ちゃんは可愛いんだから気を付けなきゃダメだよ?」 「そうだね。」 その後は葵が話しているのを聞いていると、担任がやって来た。 「HR始めるぞ。」 そういい皆が席に着いたのを確認して、話を始めた。 この学校は不良校だが、朝と帰りのHRにさえ居れば単位をくれるらしい。 まぁ…テストも少しは関係してるらしいけど…。 そんな事を考えていると、いつの間にかHRが終わって皆が帰って行っていた。 私も帰る様に席を立つと葵が話しかけて来た。 「い~ちゃん。帰るなら、外まで一緒に行こう?」 また絡まれるのもイヤだから葵と一緒に教室を出た。 下駄箱まで行く間に葵は、この学校の色んな話をしてきた。 そんなに詳しいなら、もしかして熾遠の情報も聞けるかと思い、聞いてみた。 「ねぇ葵?」 「なぁに?」 「結城 熾遠って知ってる?」 葵は驚いた顔をして私を見ながら言った。 「い~ちゃん熾遠さんは知ってるんだ?」 「まぁ…。熾遠今日来てるかわかる?」 「えっ?熾遠さんは…どうかな?」 そう言われ、今日は帰りだしと思い熾遠を探すのを諦めた。 「い~ちゃん?熾遠さんに用事?」 不思議そうな顔で訪ねてくる葵に、私は 「ん~?用事ってほどでもないけどね?」 そう言うと、葵は何かを考え始めた。 「熾遠さんに連絡取ろうか?」 「いいや。学校に来た時に会えるだろうし…。」 そう言うと、とりあえず頷いてくれた。 「ねぇ、い~ちゃん。熾遠さんとの関係って…?」 葵は気になったのか聞いてきた。 「…秘密。とにかく熾遠に私の名前言ったら分かるから。」 そう言いながら、歩いていると、いつの間にか下駄箱に来ていて、葵と靴を履き替えていると、きゃ~と遠くで女の子達の悲鳴に似た黄色い声が響いた。
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