五章

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大河さんが帰って、しばらく呆然としていた。 「なんか…楽しそうな人だね?」 ポツッと呟いた私に、櫂翔は私の頭を撫でながら言った。 「あいつは楽しければ何でもするやつだからな。実際、中学のクラスメート全員騙して紅蓮に引きずり込んだからな。」 「クラスメート全員!?」 「あぁ。綾達三つ子とその彼女だけ逃れたらしいけどな。」 「…なんか…スゴいね。」 何だか凄い話を聞いた気がしていた。 「ところで李遠?」 熾遠に話し掛けられ返事をした。 「なぁに?」 「学校でお前に手を出した奴等は同じクラスか?」 「えっ!?…なんで?」 自分で解決しようと思っていたから、驚きながら聞いた。 「もうお前に手を出させない様にする。」 「熾遠!?でも…私が自分で解決するから…」 そう言うと、今まで黙って私と熾遠の会話を聞いてた櫂翔に話し掛けられた。 「李遠…見逃すのは一度っきりだって言っただろ?この前も泣かされたじゃねぇか。」 「あ…あれは…動揺しちゃっただけで…。まだ大丈夫だよ?この前も女子に囲まれたけど勝ったし…。」 「ダメだ。」 「でも…女子の事は私が何とかする。だから…櫂翔達は何もしないで?」 「…昨日みたいな事になったらどうするんだ?何かあってからじゃ遅いんだぞ?」 「…何かあったら…すぐに連絡するから…。…ダメ?」 そう言っても、櫂翔も熾遠も折れる様子はなかった。 しばらく無言が続き、私の諦めないって目に熾遠が溜め息をついた。 「はぁ…。櫂翔…無理だ。こうなった李遠は言うことを聞かない…。」 熾遠の言葉に櫂翔も呆れた様に溜め息をついた。 「…じゃあ…約束しろ。呼び出されたりしたら、すぐに連絡いれろ。それと…待つのは1週間だけだ。 いいな?」 そう櫂翔に言われコクコクと頷く。
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