五章

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しばらくして、私はボ~と櫂翔が殴るのを見ていると、熾遠が入ってきた。 「李遠!無事か!?」 そう言う熾遠に頷くと、熾遠は足の傷に気づき、止血してくれた。 「刺されたのか?無茶するな。」 そう言う熾遠に頷き、熾遠を見ずに私の視線は櫂翔を見ていた。 何も答えない私を不思議に思ったのか、熾遠は私の視線の先を見て慌てだした。 「櫂翔!?おいヤメロ!!」 視線の先には熾遠の声にも反応せずに、殴り続ける櫂翔がいた。 いつの間にか、葵や侑哉さん、blue moonのメンバー達がいて、櫂翔を止めようとしている。 何人かに押さえつけられいる櫂翔を見ながら声を掛けた。 「……櫂…翔……。」 私が呼び掛けると、ピタッと櫂翔の動きが止まった。 押さえ付けられていた櫂翔は、押さえている皆を振り払うと、すぐさま私を抱き締めてくれた。 しばらくギュッと抱き締めてくれた後、櫂翔は少し身体を離し聞いてきた。 「李遠…何であんな無茶したんだ?」 抱き締められながら、何の事か解らずにいると、櫂翔の視線は私の足に向かっていた。 足の傷を見て、あぁ…と思いながら答えた。 「…気持ち…悪かった…から…」 そう言うと、櫂翔は一瞬不機嫌そうな顔をして、私を抱き上げた。 「熾遠!!李遠連れて帰るから、後は任せた。女達は見せしめにしとけ!!男はお前に任せる。」 「あぁ。わかった。」 短い会話が終わると、櫂翔はスタスタと歩き始め、私はただ涙を流しながら、呆然としていた。
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