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気付くと病院に来ていた。
櫂翔に抱き抱えられたまま病院に入り、櫂翔とお医者さんが話していた。
「久しぶりだな櫂翔。」
「はい弘人さん。とりあえずこいつ見て貰ってもいいですか?」
「あぁ。こっちこい。」
そう言い歩きだした人に櫂翔は着いていった。
「そこのベッドに下ろせ。」
診察室に入りそう言われ、櫂翔にベッドに降ろされたが、無意識の内にギュッと櫂翔に抱きついていた。
「李遠…大丈夫だ。足の傷を見て貰うだけだ。」
優しくそう言う櫂翔に、渋々手を離した。
「よし見るか。」
そう言い、傷を見るために足に触れた人の手に、身体が震えてきた。
必死に“大丈夫” と自分に言い聞かせても、さっきの出来事のせいで、震えは止まらず、頭が真っ白になり、櫂翔を求めた。
「…か…いと……」
いつの間にか止まっていた涙も流れ初めていた。
すぐに櫂翔が抱き締めてくれて、私に言い聞かせていた。
「李遠…側にいるから大丈夫だ。すぐに終わるから…」
櫂翔が言うと、お医者さんは平然と櫂翔に言った。
「あ~。櫂翔そのまま抱いててやれ。李遠ちゃん?触っても大丈夫かな?」
櫂翔が抱き締めてくれてるなら…と思い頷いた。
私が頷いたのを見て、素早く治療してくれ、すぐに終わった。
「よし。李遠ちゃん良く我慢したね?終わったよ。櫂翔、傷はそんなに深くないが、熱出るかもしれないから薬出しとくな。」
「はい。ありがとうございました。」
そう話していると、ドアが勢い良く開き熾遠が入ってきた。
「李遠!!」
「うるせぇぞ熾遠!!」
「弘人さん!李遠は大丈夫なんですか!?」
「落ち着け。傷も深くないから大丈夫だ。」
「良かった。李遠…痛むか?」
心配そうな顔をして、櫂翔に抱きついていた私を見てきた。
「…大丈夫…ゴメンね…熾遠…」
「お前が無事ならいい。」
そう言い頭を撫でてくれた。
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