五章

39/57

1835人が本棚に入れています
本棚に追加
/592ページ
「で?李遠ちゃんは誰にヤられたんだ?」 黙って私達を見ていた弘人さんが言った。 「…あ…自分で…刺しました…。」 私の言葉に、熾遠と弘人さんは驚いていた。 「李遠?何で自分で刺したんだ?」 「…最初…首に当てられてて…あの男に触られてるのが…気持ち悪くて…。」 そう言うと、熾遠と櫂翔は溜め息をついた。 「ごめんなさい…櫂翔…」 櫂翔に抱きつきながら謝った。 「…もう二度と無茶するなよ?」 そう言う櫂翔に頷き、熾遠の方を見れば、弘人さんと話していた。 「チーム関係か?」 「いえ。イジメからですね。」 「ふぅん。終わったのか?」 「きっちりと。」 そう話す二人を見て、私は改めてお礼を言った。 「あの…ありがとうございました。」 「いや良いよ。櫂翔が女の子抱えて来たのには驚いたが…。」 「弘人さん。改めて紹介しときます。俺の妹の李遠。櫂翔の女ですよ。」 「そうか。李遠ちゃん。俺は弘人。こいつらの先輩だ。」 そう言われペコリと頭を下げた。 「じゃあ帰ります。弘人さん、ありがとうございました。」 「あぁ。また明日連れて来い。しばらくは通院しろ。またね李遠ちゃん。」 「はい。」 櫂翔は返事をすると、私を抱き上げ歩き出した。 私は弘人さんにもう一度頭を下げ、櫂翔の首に腕を回した。 熾遠が受付で薬を貰い、櫂翔がそれを受けとると車に乗り込んだ。 車の中でも、櫂翔の膝の上で抱き締めてて貰い、あの男が言っていた事を櫂翔達に言わなきゃと思い出した。
/592ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1835人が本棚に入れています
本棚に追加