1835人が本棚に入れています
本棚に追加
/592ページ
本当にすぐに戻ってきた櫂翔は、数種類の果物を持ってきた。
「ほら。少しでもいいから食べろ。」
そう言われブドウを手に取り口に入れた。
冷たくなった果物が気持ちよく、何個か食べていた。
「…もぅ…いらない…」
「ん。ほら薬飲め。」
そう言い薬と水を手渡された。
薬は嫌いだけど、ズキズキと痛みが治まる様子がなかった為、何とか薬を流し込んだ。
何とか飲んだけど、嫌いな薬を飲んだせいか、目に涙が溜まっていた。
「頑張ったな。ほらもう少し寝ろ。」
櫂翔は涙を拭いてくれ、私を布団の中に入れ自分も入り、私を抱き締めてくれた。
「…どこにも行かない?」
「あぁ。抱き締めててやる。」
不安になり聞いた私に、櫂翔は答えてくれた。
櫂翔の温もりに安心して、薬のせいか眠気には勝てずに眠りに落ちていった。
熱が上がっていたのか、夢を見ていた。
涼にされる夢…………。
今日の奴等が涼に見えたせいか、しばらく見ていなかった夢に涙が溢れていた。
その時、ひんやりとするオデコに目をあけた。
「…起こしたか?」
そう聞く櫂翔に首を振る。
「熱が上がってきたな。大丈夫か?」
櫂翔に頷き、ギュッと抱きついた。
「どうした?夢でも見てたのか?」
「…うん。…怖い…夢…」
「大丈夫だ。俺が側にいる。ほらまだ寝るぞ。」
そう言う櫂翔に頷き目を閉じると、すんなり眠りに落ちていった。
最初のコメントを投稿しよう!