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病院に入ると、また弘人さんによって診察室にすんなり通され、昨日の様にベッドに降ろされた。
「櫂翔、抱いててやれ。李遠ちゃん、傷見ても大丈夫かな?」
弘人さんに言われ、櫂翔に抱き締めて貰いながら頷くと、弘人さんは素早く治療してくれた。
「…ありがとう…ございます…」
「いいよ。また明日来てね?もうちょっと学校は休んだ方がいいからね?」
熱のせいでボ~とする頭でお礼を言い、弘人さんに言われた事に頷くと、櫂翔が私を抱き上げた。
「弘人さん、ありがとうございました。」
「おぅ。また明日な。」
櫂翔は弘人さんに頷き、診察室を出て歩きだした。
段々と熱が上がってきたのか、ボ~としながら櫂翔に抱かれていた。
病院の入口に横付けされた車に乗り込み、またマンションまで帰ってきた。
櫂翔は器用に私を抱き上げたまま、鍵を開け部屋に入り、私をベッドに降ろした。
「李遠…寝てもいいぞ。」
そう言う櫂翔に頷き、何も言わずに櫂翔の手を握り目を閉じた。
しばらく眠り、リビングの方でする話し声に目を覚ました。
ベッドから起き上がり、周りを見渡しても櫂翔がいなく、寂しくなり涙が溢れそうなのを我慢しながら、声がしたリビングの方に行った。
寝室のドアを開けると、すぐに櫂翔がこっちに気づき、私を抱き上げソファーに座らせてくれた。
「…櫂翔…」
「どうした?」
「…寂しかった…。」
「…あぁ。側にいなくてごめんな?」
そう言う櫂翔に抱きついたら、何処からともなく熾遠の声が聞こえた。
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