五章

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病院に入ると、また弘人さんによって診察室にすんなり通され、昨日の様にベッドに降ろされた。 「櫂翔、抱いててやれ。李遠ちゃん、傷見ても大丈夫かな?」 弘人さんに言われ、櫂翔に抱き締めて貰いながら頷くと、弘人さんは素早く治療してくれた。 「…ありがとう…ございます…」 「いいよ。また明日来てね?もうちょっと学校は休んだ方がいいからね?」 熱のせいでボ~とする頭でお礼を言い、弘人さんに言われた事に頷くと、櫂翔が私を抱き上げた。 「弘人さん、ありがとうございました。」 「おぅ。また明日な。」 櫂翔は弘人さんに頷き、診察室を出て歩きだした。 段々と熱が上がってきたのか、ボ~としながら櫂翔に抱かれていた。 病院の入口に横付けされた車に乗り込み、またマンションまで帰ってきた。 櫂翔は器用に私を抱き上げたまま、鍵を開け部屋に入り、私をベッドに降ろした。 「李遠…寝てもいいぞ。」 そう言う櫂翔に頷き、何も言わずに櫂翔の手を握り目を閉じた。 しばらく眠り、リビングの方でする話し声に目を覚ました。 ベッドから起き上がり、周りを見渡しても櫂翔がいなく、寂しくなり涙が溢れそうなのを我慢しながら、声がしたリビングの方に行った。 寝室のドアを開けると、すぐに櫂翔がこっちに気づき、私を抱き上げソファーに座らせてくれた。 「…櫂翔…」 「どうした?」 「…寂しかった…。」 「…あぁ。側にいなくてごめんな?」 そう言う櫂翔に抱きついたら、何処からともなく熾遠の声が聞こえた。
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