五章

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「李遠、大丈夫か?」 「…お兄ちゃん?」 「おぅ。痛むか?欲しいものないか?」 「…大丈夫…」 「そうか。欲しいのあったら言うんだぞ?」 熾遠はそう言いながら頭を撫でてくれていると、櫂翔が言った。 「李遠、少しご飯食べろ。銘愛がお粥作ってくれたぞ?」 「…食べたくない…。」 「食べなきゃ薬飲めないだろ?果物もあるけど、どっちがいい?」 「…桃…食べたい…」 家になさそうな物を言ったのに…なぜかあった。 …なければ薬飲まなくても、良かったかも知れないのに…。 そう思いながら口に桃を運んだ。 「やっぱり買ってきて正解だな。昔からお前は熱出すと、桃しか食べないからな。」 「…お兄ちゃん…ありがとう。」 そう言い、口に桃を運んだ。 一つで食べれなくなり、フォークをおくと櫂翔が薬を持ってきた。 「ほら李遠、薬」 そう言う櫂翔にイヤイヤと首を降っていると、熾遠が言った。 「李遠、飲まなきゃダメだよ。」 「でも…お兄ちゃん…。」 「ん?」 「お薬、嫌い…。」 「わかってるよ。だから…ゼリーも買ってきた。これにくるんで飲み込め?」 「…やだぁ…」 熾遠と話をしていると、櫂翔が私の口にゼリーを入れてきて、驚いてそのまま飲み込んでしまった。 「まだゼリーいるか?」 櫂翔に首を降り、抱きついた。 「…お薬いや…」 「もうないぞ。今、飲んだだろ?」 そう言われ、さっきのゼリーに薬が入っていた事に驚いた。 「…ふぇ…」 薬を飲まされた事に気づき、泣きそうになっていると、抱き締められた。 「泣くな李遠。頑張ったな。薬飲まなきゃ熱下がらないだろ?ほらもう少し寝てろ。」 そう言われ、背中をトントンとされ、目が閉じていった。
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