五章

47/57

1835人が本棚に入れています
本棚に追加
/592ページ
櫂翔side 眠った李遠をベッドに寝かせ、熾遠が待つリビングに戻った俺は奴等の状況を聞く。 「熾遠、奴等は吐いたか?」 「吐いたには吐いたが…涼達の居場所までは知らなかった。メールで指示されてたみたいだな。」 「そうか…。とりあえず大河に奴等の携帯に送られたメールを見せろ。あいつなら発信源が探せるだろ。」 「あぁ。なぁ…櫂翔。」 「なんだ?」 「李遠はやっぱり熱出たのか?」 「あぁ。昨日、帰ってから熱が上がってな。昨日からあの状態だ。」 「あいつは熱を出すと、甘えん坊になるんだ。俺がいた頃は俺から離れなかったのに、今は櫂翔だな。それにしても…お前上手く薬飲ますよな?俺でも苦労してたのに…」 「何とか誤魔化してな。昨日の夜は自分で飲んだぞ?」 「そうか。よっぽど辛かったんだな。お前もしばらく学校休むんだろ?」 「あぁ。そのつもりだ。何か解れば溜まり場には行く。」 「わかった。じゃあ俺は帰るな。銘愛も待ってるしな。」 「あぁ。気を付けろよ。」 そう言うと、熾遠は片手を上げて帰っていった。 李遠の様子を見に寝室を覗くと、李遠はグッスリ眠っていたから、その間に風呂に入った。 風呂で奴等をどう追い詰めるか考えていた。 …涼のチームと鬼神…厄介なチームが2つもこの街にいる。 …魁さん達も協力してくれるなら、県境に追い詰めればいい。 ただ…その時李遠を置いていくのは不安だから、早めに綾と合流させて、その間に終わらせたい。 そうなると、夏休みが勝負だな。 ある程度考えが纏まってから風呂から上がり、寝室のドアを開けると同時に李遠の悲鳴が聞こえた。 櫂翔side end
/592ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1835人が本棚に入れています
本棚に追加