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熱にうなされ見た夢に、自分の悲鳴で目を覚ました。
一瞬、夢か現実か解らなくなり、震えながら周りを見渡していると、櫂翔が飛び込んできた。
「どうした?」
「…あ…」
櫂翔の姿を見て安心して、涙が溢れた。
涙を流す私に、櫂翔が近づき抱き締めてくれ、また聞いてきた。
「夢でも見たのか?」
「…ゆ…め…?」
「大丈夫だ。俺が側にいる。…だから泣くな。」
「…櫂翔…。…側に…いて…。…置いて…行かないで…。」
「あぁ。ずっと抱き締めててやる。」
「…良かった…。」
櫂翔の温もりに安心して、しばらく抱き着いていた。
「足は大丈夫か?」
私が落ち着いた頃、聞かれ頷いた。
薬が効いてるのか、足に痛みはなかったが、身体のだるさは残っていた。
櫂翔が急に私から離れた事に驚き、慌てて櫂翔の手を握った。
「ほら李遠。少し飲め。」
そう言い差し出されたのは、スポーツドリンクだった。
それを櫂翔から受けとり、喉に流し込むと、冷たいドリンクが喉を潤した。
冷たいドリンクに目が覚めて、さっきのが夢だとやっと認識出来た。
少しだけのはずが、いつの間にか半分近く飲んでしまっていた。
「熱はまだあるな。おいで李遠。」
そういい、布団に寝転ぶ櫂翔に抱き寄せられた。
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