五章

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準備が終わりマンションを出ると、いつの間に頼んだのか、いつもの車が止まっていた。 二人で車に乗り込み櫂翔は運転手さんにファミレスに行くように言った。 メニューを見ながら何にしようか悩んでいると、櫂翔の携帯が鳴り出した。 「なんだ?…あぁ。一緒にいる。…ファミレス」 携帯に出て、そう言うと櫂翔は舌打ちしながら電話を切った。 不思議に思いながら、櫂翔を見ていると話しかけられた。 「決まったか?」 「うん。ドリアにする。電話誰からだったの?」 「熾遠。今から来るんだと。」 「へ?大河さん所にいたんじゃないの?」 「帰ってきたらしい。」 そう言い店員を呼び注文をして、タバコに火をつけた。 「そうなんだ。熾遠なんで来るの?」 「知らねぇ。報告なら明日でいいのにな。」 櫂翔は疲れてる様に話していた。 「とりあえず…ジュース取ってくる。」 「あぁ。一人で大丈夫か?」 「大丈夫だよ。傷も痛まないしね。」 心配そうな櫂翔にそう言い、ドリンクバーの前で何にしようか悩んでいた。 …紅茶にしよ。 やっと決まり、注ごうとしていると、急に抱き締められた。 誰か解らなくて、ビクッとして抱きついた人を見れば銘ちゃんだった。 「…あれ?銘ちゃん??」 「李遠ちゃん、傷は大丈夫?」 「うん。心配かけてゴメンね?」 「李遠ちゃんが無事なら良いよ。でもまだ無理しちゃダメだよ?」 「うん。」 いきなりの抱擁に戸惑ったが、銘ちゃんだと分かり、力を抜いた。
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