六章

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いつの間にか7月になっていて、テストが近づいて来ていた。 そのせいか、皆真面目に授業を受けている。 いつも寝ている葵でさえ、必死にノートを取り、休み時間になれば、葵やメンバー達の勉強を見てあげてた。 最初は葵も私がそこまで出来るとは思ってなかったらしく、勉強もしてなかったけど、数日前解らなくて唸ってた葵に教えてあげると、皆私に聞きに来ていた。 溜まり場についても、ほとんどがテスト勉強をしていて、暴走族なのに勉強しているのが可笑しくてクスクス笑った。 「どうした李遠?」 笑っていると熾遠に聞かれたから、思った事をそのまま言った。 「皆暴走族なのに勉強してるのが可笑しくて。熾遠達は勉強しなくていいの?」 皆が勉強してるのに、侑哉さん、熾遠、櫂翔は勉強をしていなかった。 「俺達はそこまでバカじゃないからな。だいたいあんなの勉強するだけ無駄なんだよ。」 「なんで?」 「1年は初めてのテストだから、教師達も範囲とか言ってるけどな?実は問題の中に答えがあったりするんだ。だいたい問題事態が中学レベルなんだよ。」 熾遠の言葉に驚いた。確かに不良校なだけに入試も簡単だったけど…まさかテストが簡単だとは思わなかった。 「えっ!!そんなに簡単なの?」 「あぁ。やる気なくすぐらいな。」 「なら…勉強してる人達って…」 「1年は普通に難しいとでも思ってんだろ。他の奴らは赤点取らないようにだな。」 「なら葵に教えてあげようよ…」 「いや。あれはあれで面白いからほかっとけ。」 笑いながら言う熾遠に呆れながら、私も勉強を辞めた。 家でも勉強してたんだから櫂翔が教えてくれてもいいのにと思い、櫂翔を見上げ言った。 「櫂翔、何で教えてくれなかったの?」 「ん?お前が走り回らない為。勉強してたら、大人しくしてるだろ?」 そう言う櫂翔に何も言えずに不貞腐れた。
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