六章

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終業式が終わり、すぐにマンションに帰って来た。 数日分の自分の着替えと、櫂翔の着替えをボストンバックに詰め込んだ。 フッと気が付き櫂翔に聞く。 「ねぇ櫂翔?」 「ん?」 「何日ぐらい行くの?」 「1週間ぐらいだな。準備は終わったか?」 「うん。ある程度は入れたよ。」 「来い李遠。」 優しく櫂翔に呼ばれ、櫂翔が座るソファーに腰掛けた。 私が座ると、いきなり櫂翔は抱き締めてきたから不思議に思いながら聞いた。 「櫂翔?」 「李遠。魁さん達の所に行ってる間に涼達の事を終わらせる。」 「………えっ?」 「今、県境に追い詰める様に仕向けてる。奴らの居場所も解ったし、俺達が動く間お前は綾達と居てくれ。」 いきなりの話しに頭がついていかなかった。 櫂翔に抱き締められながら、言われた事を整理する。 …涼達の事を終わらせる…。 …俺達が動く間お前は綾達と居てくれ。 「…あ…」 なんて言ったらいいか解らず口ごもった。 そんな私に櫂翔は、ゆっくり説明してくれた。 「お前が誘拐された後から動いてはいたんだ。最近やっと見つけて、うちのメンバー達に見張らせてる。魁さんや大河達も準備出来てる。 もう少し早くに潰す事も出来たが、俺達が出てる間に李遠に何かあるのがイヤだった。だから魁さんと話して、夏休みに入ってからすぐに動く事になった。」 私が知らない間に、そんな事になっていたなんて…。 ジッと櫂翔の話を聞きながら、そんな事を思った。
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