六章

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次の日、私が目を覚ますと隣に寝ているはずの櫂翔がいなかった。 慌てて飛び起き、櫂翔を探す。 「……櫂翔?……どこ?」 呼んで見ても返事がなく、近くにあった櫂翔のシャツを羽織、リビングに向かった。 寝室のドアを開け、リビングを見ても櫂翔はいなく、櫂翔を呼びながら家中探したが、見付からなかった。 櫂翔がいない不安で、いつの間にか涙を流しながら、廊下に座り込んでいた。 「……か…いと……。」 …なんで何処にもいないの…。 そう思いながら、放心状態で座り込んでいると、玄関が開いた。 ボ~としながら見ていると櫂翔で、私が廊下に座り込んでいたから驚き慌てていた。 「李遠!?何があった?」 「……櫂…翔……」 「あぁ。どうした?とりあえず向こうに行こう。」 櫂翔は座り込む私を抱き上げ、リビングに行きソファーに座った。 膝に私を乗せたまま、頭を撫でてくれる櫂翔に、やっと櫂翔が帰って来た安心感からまた涙が出てきた。 落ち着いた頃、私を抱き締めたままの櫂翔に聞かれた。 「李遠なにがあったんだ?」 「起きたら…櫂翔がいないから…探してた…。」 「あぁ…悪かった。侑哉に呼び出されてた。昨日、李遠が眠ってから、溜まり場にいたんだ。」 「…置いて…いかないで…」 「悪かった。すぐ帰る予定だったんだ。ごめんな?」 謝ってくれた櫂翔にギュッと抱きつき、涙が止まるのを待った。
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