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部屋に逃げ、鍵を閉めベッドに倒れ込んだ。
「…イタッ…。……熾遠……助けて……。」
そう呟き、ふと櫂翔の事を思い出す。
きっと…こんな事を櫂翔に知られたら嫌われる。
今日、初めて会ったばかりの人だけど、櫂翔の事が気になっていた。
たぶん…一目惚れ…。
でも…私は…好きになったらダメ…。
こんな汚い…私なんて…嫌われる…。
そう考え、自分の気持ちに蓋をする。
ポケットから携帯を取りだし、櫂翔のアドレスを眺める…。
「……櫂翔……。」
呟いた時、ドアが叩かれた。
ビクッとして相手が声をかけるまで待った。
「おい李遠!開けろ。」
声の主は叔父さん達の子供で、私の従兄弟…涼だった。
その声を聞いた私は、無意識の内に身体が震えだし、自分の身体を抱き締めた。
返事をしないでいると、ドンドンと叩かれる。
「ちっ!李遠!!」
しばらくすると涼は諦めたのか、気配がなくなった。
まだ震える身体を抱き締めながら、今日は部屋から出ない事を決めた。
幸い部屋にはシャワーもトイレもある。
叔父さんは一応社長みたいで、家は豪邸だったから。
とりあえず、制服から着替えベッドに横になり、いつの間にか眠っていた。
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