一章

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部屋に逃げ、鍵を閉めベッドに倒れ込んだ。 「…イタッ…。……熾遠……助けて……。」 そう呟き、ふと櫂翔の事を思い出す。 きっと…こんな事を櫂翔に知られたら嫌われる。 今日、初めて会ったばかりの人だけど、櫂翔の事が気になっていた。 たぶん…一目惚れ…。 でも…私は…好きになったらダメ…。 こんな汚い…私なんて…嫌われる…。 そう考え、自分の気持ちに蓋をする。 ポケットから携帯を取りだし、櫂翔のアドレスを眺める…。 「……櫂翔……。」 呟いた時、ドアが叩かれた。 ビクッとして相手が声をかけるまで待った。 「おい李遠!開けろ。」 声の主は叔父さん達の子供で、私の従兄弟…涼だった。 その声を聞いた私は、無意識の内に身体が震えだし、自分の身体を抱き締めた。 返事をしないでいると、ドンドンと叩かれる。 「ちっ!李遠!!」 しばらくすると涼は諦めたのか、気配がなくなった。 まだ震える身体を抱き締めながら、今日は部屋から出ない事を決めた。 幸い部屋にはシャワーもトイレもある。 叔父さんは一応社長みたいで、家は豪邸だったから。 とりあえず、制服から着替えベッドに横になり、いつの間にか眠っていた。
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