六章

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夜は溜まり場で飲み会になった。 妃那ねぇ、紅葉ねぇ、瑠榎さん、瑠依さんは明日の朝が早いからと、しばらくすると帰って行った。 それに葵が少し落ち込んだが、今度は魁さんになついていた。 「今日は熾遠来ないの?」 昨日は来ていた熾遠が来ないから、聞いてみた。 「あぁ。明日の準備してるぞ。」 「明日?」 「あぁ。明日中には終わらせる。」 櫂翔の言葉は、涼の事だとすぐに気づいた。 不安そうな顔をしていたのか、綾さんが話しかけてきた。 『李遠ちゃん。明日は私の実家に行こうね。実家なら安全だから。』 「…うん。櫂翔…無茶しないでね?」 「大丈夫だ。心配するな。ちょっと待ってろよ?」 櫂翔はそう言うと、魁さん達の方に行った。 『はい李遠ちゃん。ジュース飲も?』 「…うん。」 明日の事を考えながら、綾さんから受け取ったジュースを口にした。 「…綾さん…。これ…本当にジュース?」 『ううん。カクテル。』 「怒られない?」 『大丈夫。魁も櫂翔くんも気づいてないから。』 「…じゃあ…いっか。」 綾さんと話しながら、櫂翔が戻るのを待った。 深く考え過ぎていたのか、飲むペースは早く、途中からハイテンションになっていて、櫂翔が戻って来るのが見えて、櫂翔に飛び付いた。 「おっと。どうした?」 抱き止めてくれた櫂翔は不思議そうにしながら私を見てきた。 「にゅ~?…置いていかにゃいで?」 櫂翔が戻るまでに、結構飲んでいた私は目をウルウルさせながら見上げると、櫂翔は小さくため息を付き私を抱き上げた。 「李遠?飲んだだろ?」 「みゅ?あやしゃんとジュースのんりゃ。」 櫂翔の温もりに段々と呂律が回らなくなっていた。 「魁さん、李遠寝かしてきます。綾もここで飲んでますよ!」 『わぁ!櫂翔くんバラしゃダメ!!』 櫂翔が魁さんに叫ぶと、魁さん、朔矢さん、颯矢さんがやって来て、綾さんは朔矢さんと颯矢さんに怒られていた。 『櫂翔…悪いな。また沙綾が飲ませたか。』 「いえ大丈夫です。」 『昨日の部屋、使っていいぞ。』 「はい。ありがとうございます。」 「櫂翔?どこいくにょ?」 櫂翔に聞いても答えはなく、私は櫂翔にギュッと抱き着いた。
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