六章

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〈…クックックッ。強気だなぁ李遠?俺が誰か解るだろ?〉 スピーカーから聞こえた声に、携帯を落としそうになった。 〈さて李遠、時間がないから用件だけ伝える。今、熾遠達に追い詰められててな。 …熾遠達を引かせろ。〉 「っ!出来るわけ…」 涼の言葉に身体が震えてきた。 〈ほぅ…俺の言う事が聞けねぇか。じゃあ…誰かをヤるか。 誰がいい?熾遠か?獅童か?あぁ…妃那とか言う女でもいいぞ?〉 「妃那ねぇに…何したの?」 〈まだ何もしてねぇよ。いい餌になるだろ?どうするんだ?〉 そう言う涼に悔しくなりながら、近くにあった紙に妃那ねぇが狙われてるって書いて綾さんに見せた。 それを見た、潤さん達もバタバタと部屋から出ていく。 〈どうすんだ?〉 「妃那ねぇに…皆に手を出さないで…。」 〈じゃあ今すぐ獅童に連絡しろ。…いや…代わってやるよ。…ほら獅童。〉 遠くの方で櫂翔と涼の声が聞こえた。 しばらくすると櫂翔の声が聞こえた。 「櫂翔…」 〈…李遠か?〉 「妃那ねぇが狙われてる。今、潤さん達がバタバタしてたけど…涼が櫂翔達を引かせろって…。そしたら手は出さないって…。」 〈あぁ解った。〉 「櫂翔…大丈夫?」 〈あぁ。すぐに連絡するから待ってろ。〉 櫂翔はそう言うと、携帯を放り投げ涼と話していた。 〈よくやった李遠。お前が俺の元に来れば、獅童達からも手を引いてやる。〉 「…や…だ。」 〈クスクス。まぁ今はいいさ。近い内にお前は俺のオモチャに戻るんだからな。お前がそこに居れば居るほど周りが苦しむんだ。楽しみだなぁ。〉 涼はそう言うと電話を切った。 呆然としながら、ガタガタ震える身体を支え、玄関に歩いていった。 玄関まで来ると、綾さんに立ち塞がれた。 『李遠ちゃん!出ちゃダメ!!』 「…私が…いるから…皆が…」 『落ち着いて。皆大丈夫だから…』 「…私が…いる…から…」 『李遠ちゃん!!』 「綾!どけ。李遠落ち着くんだ。」 男の人に触られ取り乱した。 「やっ!やぁ!!離して!!…櫂翔!……櫂翔!!」 『蒼くん!』 「あぁ。」 綾さんと男の人の声が聞こえたかと思うと、腕にチクッと痛みが走った。 「…やぁ!…櫂翔!!…か…いと…。」 私はそのまま眠りに堕ちて行った。
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