六章

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目が覚めると櫂翔が隣にいた。 「李遠大丈夫か?」 …どうして櫂翔がいるんだろぅ…。 そう思った瞬間、涼からの電話を思いだし、櫂翔に詰め寄った。 「っ!妃那ねぇは!?皆は??」 「落ち着け。妃那さんは無事だし、皆大丈夫だ。」 慌てて問い詰める私に、櫂翔は抱き締めながら話してくれた。 「全部終わった。涼も、もぅお前の前には出てこれない。」 「…え?」 「妃那さんが狙われてるって言った時、潤さん達も動いてるって言っただろ?」 「…うん。」 「だから俺達はそのまま涼を潰した。 妃那さんがそう簡単にヤられる訳ないし、ヤバくなっても潤さん達が動いたなら間に合うと思ってな。 まぁ…実際は潤さん達が着く前に妃那さんが返り討ちにしてたんだけどな?」 「…え?…じゃあ…妃那ねぇは…無事?」 「あぁ。」 「…わ…私は…涼の…所に…行かなくて…いい?」 「行かせねぇよ。お前は俺の側にいるんだからな。」 話しながら涙が溢れてきて、櫂翔に抱きつきながら泣いた。 「泣くな李遠。言っただろ?お前は俺が護る。」 「…うん。…涼に…私が居るから…皆が傷付くんだ…って言われて…」 「…だから出ていこうとしたのか?」 「…だって…綾さん達まで…巻き込めない…。私が…涼の所に…行けば…櫂翔達も…怪我しないはずだから…」 そう言うと櫂翔は、はぁっと深い溜め息をついてから話始めた。 「李遠、あいつの所になんか行かせない。例え…お前が自ら涼の所に行ったとしても、俺はお前を連れ去りに行く。 お前を護るのは俺だ。涼じゃない。お前は俺の側に居ればいい。何があっても護ってやる。」 「…うん。」 櫂翔の言葉に更に涙が溢れてきた。 しばらく抱き締めて貰いながら泣き続けた。 「そんなに泣くな。もぅ大丈夫だ。涼は今ごろ警察に行ってるから…」 「…ふぇ…うん。」 私が泣き止み落ち着くまで、櫂翔はギュッと抱き締めてくれていた。
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