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涙が止まった頃、コンコンっと遠慮がちに音が響いた。
「どうぞ?」
櫂翔が返事をすると、男の人が入ってきた。
とっさに櫂翔にしがみつき、男の人を見れば、潤さん達と一緒に飲んでた人だった。
「李遠は起きたか?」
「はい。さっき起きました。」
「李遠、大丈夫か?」
急に聞かれ、何の事か解らなかったが、とりあえず頷いた。
ビクビクする私に気付いた櫂翔が、ちゃんと紹介してくれる。
「李遠、この人は蒼斗さんだ。弘人さんの先輩で、宝龍の先代。ちなみに医者だ。
お前を落ち着かせたのはこの人だ。」
櫂翔にそう言われ、改めて顔を見ながら頭を下げた。
「反応まで李維にそっくりだな。人見知りは李維に似たな。
李遠、気分は悪くないか?」
「…はい。」
「そうか。落ち着かせるのに、睡眠剤を打ったからな。
あんな症状は良くなるのか?」
そう聞かれ違うと首を降ろうとする前に櫂翔が答えた。
「涼が絡んだ時だけですね。あいつの名前を聞いただけで、パニック状態になります。」
「…そうか…。安定剤置いとくから、不安なら飲ませろ。
李遠、無理はするなよ?李維にそっくりなら、たぶん性格も李維みたいなんだろ?李維も昔我慢しすぎてたしな。じゃあな。」
そう言うと蒼斗さんは部屋から出ていった。
「李遠飲むか?」
「…大丈夫。」
「クス。薬が嫌なだけだろ?必要と感じたら、無理矢理にでも飲ませるからな?」
「…大丈夫だもん。…櫂翔が居てくれれば…」
「解った。どうする?まだ寝てるか?綾達は下にいるぞ?」
「妃那ねぇに会いたい…」
「ん。じゃあ行くか。」
櫂翔はそう言うと、手を引いて立ち上がらせてくれ、二人でリビングに向かった。
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