六章

55/70
前へ
/592ページ
次へ
携帯の音で目を覚まし、寝惚けながら通話ボタンを押した。 「…はい。」 〈おはよう李遠。朝飯行くぞ。櫂翔起こして来い。〉 「…うん。」 電話は熾遠で、電話を切ってから起き上がって隣を見ると、櫂翔はまだぐっすり寝ていた。 「…櫂翔…おきて?」 やっぱりすぐには起きてくれなくて、何回か体を揺すると目を開けた。 「櫂翔おきて?熾遠が朝御飯行くって。」 「……あぁ。」 櫂翔は返事をしながらもまた寝そうになっていた。 「もぅ…ちゃんと起きて?」 そう言いながら、チュッとキスをすると、櫂翔は驚いた様に目を開けた。 私からはめったにしないからか楽しくなり声をかける。 「クスクス。起きて?」 笑いながらそう言えば、櫂翔に抱き締められて、深いキスが降ってくる。 「……ン…か…と…」 櫂翔はキスをしながら、身体を触り出したのに少し焦りながら止める。 「…ン…櫂翔…ダメ…」 「ダメじゃない。朝から可愛い事するお前が悪い。」 「…ぁ…ン…。…熾遠が…待ってる…」 「待たせとけ。」 そう言うと唇を塞がれ反論出来なくなり、有無を言わさずに櫂翔に抱かれた。 情事が終わり、ダルい身体をベッドに横たえていると、櫂翔はタバコを吸いながら、頭を撫でてくれていた。 気持ちよく寝てしまいそうになってる時に再び携帯がなった。 携帯を櫂翔に取ってもらい、電話に出ると熾遠からで、“起きてるか~”と叫ばれた。 ビックリして携帯を手放すと、櫂翔にも聞こえてたみたいで、素早く携帯を拾い話し出した。 「熾遠…朝からうるせぇ。……あぁ…今から行くから先に行ってろ。」 櫂翔はそう言うと電話を切った。 「…熾遠…何だって?」 「早く来いだと。行けるか李遠?」 「…なんとか…」 「大丈夫か?」 「…櫂翔のせいじゃん。」 「李遠が可愛い事するからだろ?」 クスクス笑いながら言う櫂翔を睨みながら、着替えて二人で部屋を出た。 朝食はバイキングになっていて、先に食べていた熾遠達と合流すれば遅いと言われた。 ご飯も食べ終わり、部屋に戻ってしばらくゆっくりしていると、綾さんから遊ぼうとお呼びがかかり、4人でホテルを出て溜まり場に向かった。
/592ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1836人が本棚に入れています
本棚に追加