六章

62/70
前へ
/592ページ
次へ
男達が去った後、颯矢さんが月さんに聞いていた。 『月?何があった?』 『それが…かき氷買って帰ろうかしてたら絡まれて…みぃちゃんがキレて言い返してたら李遠ちゃんの腕を捕まれて…李遠ちゃんのかき氷が落ちちゃったの。でね…今度は李遠ちゃんがキレちゃって…』 説明する月さんの声に皆が聞き入っていた。 「…李遠?」 まだ抱き着いたままだった私を櫂翔が呼んだ。 「だって…かき氷…フェ…久しぶり…だったのに…」 「泣くな李遠。俺が買ってやるから。」 「…グス…本当…?」 「あぁ行くぞ。魁さん達は先に行ってて下さい。」 『あぁ。』 魁さんの返事を聞くと櫂翔は私の肩に手を回し、抱き寄せながら売店に歩いた。 売店で新しく買ってもらい、ニコニコしながら櫂翔にお礼を言った。 「櫂翔ありがとう!!」 「あぁ。もう無茶するなよ?」 「だって…」 「だって…じゃねぇよ。お前が怪我したらどうすんだ。迎えに来て正解だったな。」 「ごめんね?」 心配させたお詫びに謝ると、チュッとキスされた。 「櫂翔!!」 「心配させた罰だ。」 「…もぅ…」 怒られなかった代わりにキスされ、私は顔を赤くしながら皆の所に帰った。
/592ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1836人が本棚に入れています
本棚に追加