六章

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「…いや。あの時、風呂から上がってから、李遠がアイス食ってたんだけどな?悪がきが李遠にぶつかってアイス落としたんだ。 で、李遠が怒ってそいつら李遠より歳上なのに、泣かしちゃったんだよ。 騒ぎを聞き付けて、俺が行くと李遠は泣きそうになりながら、俺にアイス落としたって抱きついてきてな。 可愛かったなぁ…」 「あ~そんな事もあったねぇ。だってあの子達が走ってなければ、アイス食べれたのに…」 そう言うと、皆が今日の事を思い出したのか笑いだした。 「クスクス。李遠は昔から変わらないな。」 「食べ物の恨みは怖いのよ?」 櫂翔にそう言うと、熾遠が言った。 「李遠の場合、食べ物じゃなくて、デザートだろ?」 『クスクス。今日の李遠ちゃん見てたらわかるかも。』 「あ…綾さん!!」 「今日?何かあったのか?」 熾遠には今日の事を言ってなかったから、綾さんの言葉にドキッとした。 私が綾さんに言わないで…と目線で訴えていたら、銘ちゃんが言ったらしく熾遠に怒られた。 「李遠!お前は何やってんだ!!怪我したらどうすんだよ!」 「でも櫂翔来たから大丈夫だったし…」 「櫂翔が遅かったらどうしてたんだ!!」 「ご…ごめんなさい…」 凄い剣幕で怒る熾遠が怖くなり、櫂翔に抱きついた。 「熾遠、許してやれ。李遠も反省してるしな。」 櫂翔はそう言いながら、抱きついた私の頭を撫でてくれた。 抱きつきながら、櫂翔の言葉に頷きチラッと熾遠を見ると、銘ちゃんに宥められていた。 熾遠がまた怒り出さない内に逃げようと思い、綾さんに声をかけた。 「綾さん、ご飯取りに行こう?」 『うん。魁、行ってくる。』 『あぁ。見える所にいろよ?』 「李遠もな?」 二人で返事をして、バーベキューセットの所に行くと、葵が下っ端の子をからかいながら、お肉を食べていた。
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