六章

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フワッと抱き寄せられる感じがして、目を開けると櫂翔の腕の中にいた。 「起こしたか?」 「…櫂翔…今何時?」 「まだ夜中だ。」 「…ん。喉…渇いた…。」 そう言うと、櫂翔はサイドボードからミネラルウォーターを取り、私にくれた。 喉を潤してから、サイドボードに戻すと櫂翔に抱き寄せられる。 「…いつ…部屋に…帰って…来たの?」 「あの後、お前寝ちゃったから部屋に連れてきた。俺達はさっきまで飲んでたからな。」 「…そっか…」 「ほら寝るぞ。」 「…ん…」 布団に入り櫂翔の温もりと香りに包まれると、また私は眠りに落ちていった。 次に目が覚めたのは朝だった。 櫂翔の腕から抜け出し、カーテンの隙間から外を見ると、海がキラキラ光って見えて綺麗だった。 その光景に見とれていると、後ろからフワッと抱き締められた。 「おはよう櫂翔。起きるの早かったね。」 「…あぁ。おはよ。」 「クスクス。まだ眠たいなら、寝てれば?」 「…おいで李遠。」 「…ふぇ?」 寝ぼけている櫂翔にそう言えば、いきなり手を引かれ驚いて変な声が出た。 呆然としながらついていくと、ベッドに連れていかれ、ポスっとベッドに押し倒された。 ボ~と櫂翔を見ていると、櫂翔もベッドに入り私を抱き締め眠りだした。 寝起きの櫂翔の行動は少し可愛く感じるので、クスクス笑いながら櫂翔に抱き着いていると、いつの間にか私も眠ってしまっていた。
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