七章

5/38
前へ
/592ページ
次へ
「あっ起きた。お腹が空いたのかな?」 猫ちゃんに餌をあげようと、買い物袋の中から餌を取り出していると、皆が不思議そうな顔をしながら見ていた。 「…李遠?どこから持ってきた?」 「んっと…買い物行く途中に捨てられてて…。 あった。はい猫ちゃん。」 熾遠の質問に答えてから、餌を開け足元に置いた。 猫ちゃんも降ろしてあげると、よっぽどお腹が空いていたのかガツガツ食べ出した。 「…お前は…簡単に拾ったらダメだって、いつも言ってただろ?」 熾遠は呆れながら私を見てきた。 「だってね?段ボールに入って鳴いてたの…。この子しかいなくて寂しそうだったし…。」 「お前は…昔から言い訳が変わらないぞ?ヨーグルトの時もチェリーの時もプリンの時も言ってたぞ。」 「うぅ~。ねぇ櫂翔?この子飼っちゃダメ?」 熾遠に昔の事を言われ、言い訳が思いつかずに慌てて櫂翔に聞いた。 「良いぞ。ここまで連れてきたんだしな。」 「やった。ありがとう櫂翔。ほら熾遠!飼っても良いって!!」 「はぁ…櫂翔甘やかすな。調子こいてずっと拾い出すぞ。」 「いいじゃねぇか。李遠も一人で留守番は寂しかったんだろ。これで寂しくないだろ?だから…一人で買い物は禁止。」 「はぁい。よかったね猫ちゃん。 名前は何にしようかなぁ。」 櫂翔が熾遠を説得してくれて、無事に猫ちゃんを飼える事になった。 猫ちゃんの名前は“ライチ”にした。 「櫂翔!明日ライチの買い物行こうね?」 「あぁ。」 櫂翔の返事にニコニコしながらライチを見ると、一生懸命ソファーに乗ろうかしていた。
/592ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1837人が本棚に入れています
本棚に追加