七章

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ペットショップを目指して行けば、入口にはケースに入れられた仔犬や仔猫がいた。 「うわぁ!可愛い!!」 私は見た瞬間櫂翔の手を離してケースに近づき眺めた。 「李遠…家にライがいるだろ…。」 「…はっ。今日はライチの買いに来たんだった…」 「ほんと好きだな?」 「うん!癒されるよねぇ…」 「俺は李遠の方が癒されるけどな?」 「っ!櫂翔…!」 「クスクス。照れるなよ。ほら…いるやつ買うんだろ?」 「もぅ…」 櫂翔の言葉が嬉しい反面、恥ずかしくなったが、櫂翔に上手く誤魔化されライチの物を買いに行った。 色々な種類があり悩んだが、とりあえずトイレと餌箱と玩具を手に取った。 真剣に見てたら、いつの間にか隣に櫂翔がいなく、探してみると店員さんと何か話していた。 「…櫂翔…」 遠慮がちに声をかければ、振り向きフッと笑いながら私に手を差し出した。 「決まったか?」 「うん。」 「どうした?」 私があまりにも不安そうな顔をしていたのか櫂翔が聞いてきた。 「…なんでもない。」 「そんな不安そうな顔するな。ライのゲージを見せてもらってただけだ。」 「ゲージ?」 「あぁ。学校とかで家にいない時は入れてた方がいいだろ?」 「…でも…窮屈じゃないかな?」 「大丈夫だ。それに…いない間にライが怪我したらお前が泣くだろ?」 「泣かない!!…たぶん…」 「…まぁ見てみろ。ここに置いてあるのが、一番デカイやつらしい。」 「うわぁ。これ…ライチには大きすぎない?」 「これからデカクなるから大丈夫だろ。 すいません、これも下さい。」 店員さんに声をかけ、ゲージも買った。 ゲージは大きいので、後から家に届けられる事になった。 ニコニコしながら家に帰れば、玄関のマットの上でライチが待っていた。
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