二章

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「いやぁ!」 私が叫ぶと涼は殴ってきた。 「うるせぇ。誰のお陰で家に住めてると思ってる。」 そう言いながら、行為を進め様としていた。 「やっ!櫂翔!かい…と!」 「お前…最近、熾遠を呼ばないな。好きな奴でも出来たか?」 可笑しそうに笑いながら涼が言っていた。 その時、ガチャンと玄関が開く音が聞こえ、涼の手が少し緩んだ。 その隙に、涼を突飛ばし、玄関から飛び出した。 泣きながら必死に走り、学校近くの公園まで来ていた。 破れた服のままではコンビニにも行けない。 …でも…今帰ると涼に犯される…。 空を見上げると、綺麗な満月が見え、私は無意識の内に、櫂翔に電話をかけていた。 数回コールしたあと、櫂翔が電話にでた。 〈はい。〉 櫂翔の声を聞き、また涙が流れ喋れないでいると、櫂翔が話す。 〈どうした?〉 そう聞かれ、月を見上げながら話す。 「…か…いと…。」 〈ん?〉 「………助けて……。」 櫂翔の優しい声につい助けを求めてしまった。 〈今どこだ?〉 「…………公園……。」 〈近くに何がある?〉 「……学校………。」 〈わかった。待ってろ。〉 櫂翔はそう言うと電話を切ってしまった。 涙を流しながら、ボーとしていると、人の気配がした。 涼かもと思い、ビクッとしながら顔を上げると、櫂翔がいた。 櫂翔を見て、また涙が流れてきた。 私は夢中で櫂翔に走り寄り抱きついた。 「…櫂翔…。」 いきなり抱きついた私に櫂翔は何も言わずに、抱き締めてくれた。 「李遠?何があった?」 私は話す事が出来なくて、ただ櫂翔に抱きつき泣いていた。 「とりあえず、溜まり場に行くぞ?」 そう聞かれ、家には帰れないから頷いた。 櫂翔は頷いた私を見て、泣く私を抱き上げ、車に乗り込んだ。
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