七章

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熾遠達のお家は、櫂翔の家みたいに高級マンションではなかったが、二人で住むには丁度いい広さだった。 「はい李遠ちゃん。どうぞ。」 「ありがとう銘ちゃん。」 コーヒーを出してくれた銘ちゃんにお礼を言ってカップを見ると、可愛いマグカップだった。 「銘ちゃん、このマグカップどこで買ったの?」 「これ?…たしか…駅前の雑貨屋さんだったかなぁ…。」 「可愛い…私も欲しい。」 「じゃあ今度一緒に行こうか?」 「うん!!…あっ!でも…」 「どうしたの?」 「私達だけで行ったら怒られる…。 …ねぇ櫂翔?」 買い物の約束をしたけど、この前怒られたばかりだから、櫂翔にも聞いてみた。 「どうした?」 熾遠と話をしていた櫂翔は私の声で振り向いてくれた。 「あのね?今度銘ちゃんと雑貨屋さんに行きたいんだけど…行ってもいい?」 「わかった。明後日に行くか?」 「銘ちゃん大丈夫?」 「うん。大丈夫だよ。」 「じゃあ明後日行こう!!」 話が纏まったと思ったら、熾遠が思い出した様に言った。 「おい櫂翔。明後日無理だぞ。会議がある。」 「あ?会議は1週間後だろ?」 「あれ?俺言わなかったか?明後日になったって。」 「…聞いてねぇ…」 「わりぃ。忘れてた。って訳で李遠、銘愛また今度でいいか?」 会社の会議なら仕方ないと思い、銘ちゃんと二人で頷いた。 それから色々話して、走りの時間が近くなってきて、熾遠の家を出た。 銘ちゃんも行くのかって思ってたのに、銘ちゃんは参加しないようだった。 家を出て暫く歩いてから、不思議に思っていた事を聞いた。 「櫂翔…何で銘ちゃんは行かないの?」 「熾遠は単車だからな。銘愛は重要な時しか来ないぞ。」 「そうなんだ。」
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